毎年イースターの時期になると、イギリスのスーパーやパン屋で売り出されるパンがあります。
その名は「ホットクロスバンズ」。パンの真ん中に十字架が描かれています。見た目は似ていますが、お店により種類や味はそれぞれです。これを読んだらもっとホットクロスバンズが好きになる(?)かもしれません!
ホットクロスバンズとは
ホットクロスバンズとは、イースター(聖金曜日)にイギリスで食べられる伝統的なパンです。
カレンズやレーズン、果物の皮、シナモンなどのスパイスが練りこまれ、上部に十字が描かれています。十字が描かれているので始まりはキリスト教かと思うかもしれませんが、実は異教徒を表しているんです。
ホットクロスバンズの歴史
パンの真ん中に描かれている十字によってパンは4つに仕切られますが、各4か所は春夏秋冬の四季を表しているといわれています。また月の位相(月のサイクル、新月~満月)を表しているともいわれています。そして十字は春の女神「エオストレ」への敬意を示しているものでした。その後、描かれていた十字架の価値をカトリック教会が認めたためキリストに関連するパンになったのです。
ホットクロスバンズには珍しいある言い伝えが?!
中世には教会が貧しい人への施しとしてパンが配られていたり、宗教の垣根を越えて数多くの言い伝えも生まれたそうなんです。
① 幸運が舞い込む!
イースターの日、ホットクロスバンズはすぐに食べずに長く保有すると、その分幸運が舞い込んで
くるとのこと。ホットクロスバンズ好きには難しいですね💦
② 家内安全祈願
イースターにホットクロスバンズをキッチンの壁に飾ると火事除けになる。
③ 友情の証♡
教会の出入り口の前で二人が立ち、ホットクロスバンズを真ん中で分けて次のように唱えます。
「Half for you, Half for me, between us two, goodwill shall be, Amen.」
(半分をあなたに、半分をわたしに、ここに二つの善意が生まれる、アーメン。)
すると、これで1年二人の友情が続くのだとか。
パブで毎年守られている慣習
ロンドンイーストエンドにあるパブ「WIDOWS SON(未亡人の息子)」では、今でもある慣習が守られていて毎年行われる行事があります。それはイースターの日にこのパブでパンが焼かれ、店内の天井から吊るされた網の中にゲン担ぎのために水兵がパンを入れていくのです。なぜこのようなことが行われているか?これには、ある物語があるのです。
パブの店名にもなっていますが、このパブが1848年に建つ前のこの土地にはある未亡人が住んでいました。彼女には水兵の息子がいました。ある時息子から ”イースターに帰る、パンを焼いておいて” と手紙が届いたので、パンを焼いて息子の帰りを待っていました。
ところがイースターの日、息子は帰ってきませんでした。海で亡くなってしまったのです。でもこの未亡人は自分が亡くなるまで、毎年イースターの時期になると息子が帰ってくるという望みを込めてパンを焼きました。このことからパブの主人が彼女の意思を受け継いでパンを焼くことを続けているということなのです。ホットクロスバンズにはこんな歴史もあったのですね。
スーパーで買えるおすすめはコレ!
イースター時期になるとイギリスのスーパー、パン屋でホットクロスバンズが売られます。
個人的なおすすめは、マークス&スペンサーのLUXURY HOT CROSS BANSです✨
ホットクロスバンズは、場所によりますが、スーパーで年中買うことができます。
イースター時期の渡英でなくてもホットクロスバンズ好きにとってはありがたいです♡
そして食べ方は、そのままでもおいしいですが、
上下半分にカットして軽くトーストします。そしてバターを塗って食べるとよりおいしくなりますよ。
いかがでしたでしょうか。ホットクロスバンズはただのイースターの日に食べるパンだけではなく、
数々のヒストリーがあったのですね。イギリスでこのパンを見つけた時はぜひ召し上がってみてくださいね!
参考
WIDOWS SON
住所 :75 Devons Rd, London E3 3PJ
最寄り駅:地下鉄 Bromley by Bow駅、Bow Road駅